こんにちは。看護師の内田です。今日は少し、廃用症候群の怖さについて、お話しさせていただきます。
廃用症候群って、お聞きになったことありますか?
正確には、廃用症候群とは、過度に安静にすることや、活動性が低下したことにより体に生じた様々な不具合を指します。
そのため、「生活不活発病」とも呼ばれています。
体を動かさないことによって筋肉がやせ衰えたり、関節の動きが悪くなったり、といった症状が代表的ですね。
わかりやすく言うと、体を動かさないため、体の筋肉が「動き方を忘れてしまった状態」と言えます。
ここでぜひ気にしておいていただきたいことは、「動かない」から、「動けなく」なる、という事。
お年を召されると、動くのはどうしても億劫になります。本人は「動きたくない」と言いますし、周りも「ゆっくりしてて。周りのことは私たちがやるから。」とつい甘やかします。
ハッキリ言います。ここで甘やかすことは、とんでもない親不孝な事です!!
最近はあまり使わなくなりましたが、「寝たきり老人」という言葉がありますよね。寝たきり老人の何割かは、確実に「寝たいだけで、起きようと思えば起きられる老人」です。
この状態を放置し、ご本人「動きたくない。」→家族「わかった。ゆっくりしてて。」を続けてしまうと、体はどんどん動き方を忘れ、ついに本物の「寝たきり老人」になってしまいます。
(もちろん寝たきりになる原因はこれだけではなく、いくつもの要因が重なって起こる事ですので、無理はさせないでくださいね。)
しかも、悪循環に陥ります。
まず、加齢やケガにより、体をあまり動かさなくなると、当然運動不足になります。それが常態化すると活動する機会が減り、筋力低下が起こります。そうなると体は動かしにくくなり、ますます動かなくなります。そして体の状態が次は心に影響し、ますます「もう年だから」「動くのが億劫だ」と思うようになり、さらに動かそうとしなくなります。
この症状が酷くなると、閉じこもりや寝たきりにつながっていくのです。
この悪影響が、驚くべき速さで進行します。特に高齢者は進行が速いです。廃用症候群が進行すると、体が動かないだけでなく、筋萎縮、床ずれ、心肺機能低下、食欲不振、便秘、不眠、うつ傾向など、心にも体にも悪い影響がどんどん出てくるのです。
予防する方法は、あります。
最も大切なのは、動く機会を作る事です。少し当施設の宣伝になってしまいますが、定期的にデイサービス等で運動の機会を持つことは、絶大な予防効果があります。自分の出来る範囲で身の回りのことをこなし、日中しっかりと頭と体を動かすことが必要です。ご家族はご長寿の方を甘やかすことなく、何か役割を決めて、「これはお父さんがやってね。」とお願いするなど、強制的にでも動いてもらう事が大切です。また、外に出て家族以外の人と接する機会を作ることも大切です。
体が動くうちに動かして筋力を維持することが、廃用症候群の予防になります。